-平成29年3月24日-

今年度当会が研修を担当した那須烏山市地域おこし協力隊の活動報告会が実施されました。

 

那須烏山市初の隊員3名が着任して約半年。

当会では募集イベントの段階から関わり、研修内外で多くの時間を共有してきました。

この報告会は、研修や日々の活動で感じた那須烏山の課題を解決するアイデアを事業プランとして練り上げ、地域の方に共感頂けるよう準備に励んできた集大成となります。

協力隊制度への関心の高さも手伝ってか、地域づくりや行政関係者の方をはじめ32名の来場者にお越しいただきました。

冒頭那須烏山市長による開催挨拶ののち、

同市まちづくり課の担当職員である佐藤さまから、まちづくりと隊員に込めた想いを聞かせていただきました。

 

今回の報告会では、キースピーチとして一般社団法人村楽の東大史さまをお招きし、

 

地域おこし協力隊「失敗の本質」-若者の未来を奪う「ブラック自治体」にならないために-

というタイトルで講演頂きました。

東さま自身、ITベンチャー企業での新規事業立ち上げなどを経験したのちに岡山県美作氏地域おこし協力隊として耕作放棄地再生やエコツーリズムを切り口に活躍されたOBの一人です。

現在は全国の協力隊導入支援を行っており、制度の酸いも甘いも知りつくした東さまからどのような話が飛び出すのか期待に包まれていました。

 

講演では、現在行われている協力隊募集案件を例に挙げながら、

自治体の受け入れ態勢が未成熟な中で若者を呼び込み機能不全を起こしている実態に言及しました。

成果資料で語られる定住率や、制度を後押しする政策についても疑問を呈し、一般的に知られているよりはるかに厳しい実態を紹介しました。

全国の自治体での失敗の原因と解決策を分かりやすく紹介いただき、隊員だけではなく、地域側が受け入れ前から外部からやってくる地域づくり人材への理解と受け入れ努力を惜しまないことが必要であることを強く訴えました。

 

後半には地域づくりに関わる人材の役割分担を「風林火山」に例えて紹介し、

地域おこし協力隊は着任する地域に変革を起こすことを求められる存在ではなく、土着の強い思いを持った人たちの活動を伝播し、可能性を押し広げる「林」の存在であると主張し、

来場者から行政職員に至るまで、興味深そうに聞き入っていました。

 

その後は協力隊員3名と当会古河によるトークセッション。

隊員の人となりに初めて触れる来場者も多いことから、自己紹介や那須烏山に応募した理由、これまでの取り組みなどを発表しました。

 

その後隊員それぞれから、地域に入って感じた課題と、課題解決に向けたアイデアプランの発表を行いました。

 

市田久美子隊員

地域の有休資源(空き家や子育て中の女性、地域農産品)を活用した曜日限定カフェ“火曜日のごはん”

 

榎本真紀子隊員

ナスカラの魅力を再発見&発信 “ローカルメディアプロジェクト”

 

田中勇人隊員

郷土の誇りを醸成するための、ネットラジオを活用した情報発信“Express Nasukarasuyama”

 

三者三様に着眼点の異なるアイデア発表を聞き、地域の来場者も今後の活動に期待が高まっているようでした。

プレゼンに対し、セミナー講師を担当してくださったキップルネットワークの清嶋さまと講師の東さまからコメントを頂きました。

 

最後は“ローカルインターン”として、3名がこの半年間で定期的に活動に参画していたまちづくり団体の代表者から激励の言葉を頂き、終了後も会場が熱気に包まれていました。

“烏合の手”齊藤さま

“一般社団法人里山大木須を愛する会”大貫さま

“特定非営利活動法人那珂川流域悠遊会”福田さま

 

今年度の研修で、協力隊員たちは次年度以降挑戦するプランを描くステージから実践する舞台に立つことになります。

地域と隊員がともにビジョンを描き、地域に変化を起こせるよう、当会も3人の挑戦を引き続きサポートしていきます。