今回のしもつけクエスト

「地域コーディネーター養成講座 基礎編」の第3回(最終回)が、9/24(木)にオンラインで開催されました(今年度のしもつけクエストの概要やこれまでの様子は、第1回のレポート第2回のレポートをご覧ください)

講師は、これまでの進行を務めてきたNPO法人とちぎユースサポーターズネットワークの古河 大輔さんです。

古河さんは、栃木県小山市出身。大学卒業後、インテリアコーディネーターとして企業に勤めた後、青年海外協力隊として活動。帰国後は栃木県を中心に、若者と地域を繋ぐことを通して地域の課題解決に取り組んでいます。今年度から下野市で始まる事業「シモツケ大学」には、地域コーディネーターとして関わっています。

古河大輔さん:地域コーディネーターの活動を中心に、NPO法人とちぎユースサポーターズネットワーク」、一般社団法人「カゼトツチ」、「小山市市民活動センター」の3足のわらじを履く。

 

「しもつけクエストSTAGE2」では、これまで地域コーディネーターの役割や心構えを学び、実例を聞いてイメージを膨らませてきました。

今回は、下野市を舞台に「自分たちならどんなことができるのか? どんなことをしてみたいか?」を地域コーディネーターの立場で企画し、共有する回になります。

島田真里さん:下野市総合政策課地方創生推進グループ。本企画の担当者であり、毎回下野市の魅力を伝える案内人として、趣向を凝らしたプレゼンテーションを披露。最終回はクイズ形式で下野市の魅力を発信。

下野市の活動事例紹介

はじめに、企画を考える参考情報として、下野市の活動事例について紹介がありました。

(1) 天平の丘公園の利活用と「しもつけディグリング」

紹介してくださったのは山口 貴明さん。山口さんは下野市出身で、「一級建築事務所アンプワークス」を営み、まちづくり会社「一般社団法人シモツケクリエイティブ」の代表理事を務めています。下野市を愛しており、次世代に引き継ぐ魅力のある故郷について日々考え、活動されている方です。

山口貴明さん:理想の暮らしを実現するために、様々な仮説を立ててプロジェクトを実施。「天平の丘公園でやりたいことを実現しませんか。日常の中で新たな発見や遊びを発明しませんか」と問いかける。

 

はじめに、天平の丘公園の利活用について紹介していただきました。
天平の丘公園は、春になると桜が咲き誇り、年間約20万人が来園する桜の名所です。
一方で、桜の時期が終わると来園者が減ってしまうことが課題となっています。

そこで、新たな魅力と可能性を広げる狙いで、公園に飲食を取り入れたそうです。
公園内の民俗資料館「夜明け前」を、古民家カフェ「10picnictables」として活用。
マルシェや自然を活かしたイベントなども開催し、公園の利活用を促進しています。

さらに、サイクリングと発見・探求を意味する「ディグ」を足し合わせた「しもつけディグリング」を紹介。レンタサイクリングの活性化を目的として始まった取り組みで、姿川でカヌーを使って遊ぶといった発見や探求のきっかけが生まれています。

(2) シモツケ大学

こちらを紹介してくれたのは鈴木 祐磨さん。鈴木さんは2020年7月に下野市に移住したばかりですが、地域おこし協力隊として活動をはじめています。前職では、もの作り教室で幼稚園児~高校生を対象に、子どもの興味を広げる活動をしてきました。これまでの経験を活かして、石橋地区の公共空間の活用を進めていく予定です。

鈴木祐磨さん:「シモツケ大学に関わることで私の暮らしが変わった」といった、地域へのポジティブな変化を還元できるように、公民連携による地域賑わいづくりの活動を進める。

 

シモツケ大学を説明するのに欠かせないキーワードが「ソーシャル系大学」と「暮らしが変わる企画の場」です。
ソーシャル系大学は、一般的な大学と異なり、街中全体がキャンパスとなります。
「シブヤ大学」をはじめ、「2畳大学」、「カヌマ大学」など、全国各地に存在。
お店や公民館、公園などで開催される講義やワークショップを通じて学びが生まれます。

シモツケ大学では、「こういうことを知りたい。あそこにいる人誰だろう?」といった暮らしの中の興味や関心の種を拾い上げ、育てていきます。「下野市 × 〇〇」をテーマに、様々なものを組み合わせて、暮らしが変わる企画の場が誕生します。

10月には、石橋駅前の歴史を学ぶ講座「石橋駅ヒストリー」が開講予定です!
「駅前通りのことを知りたい、街の歴史を妄想してみたい」といった暮らしの種を拾いあげて、石橋駅前の歴史を学び、話し合う場になります。

 

企画設計を経験!

その後、講師の古河さんから、地域コーディーネーターの役割について説明がありました。
①地域にポジティブな変化を還元する
②関わってくれる受入れ側と参加側の双方にメリットをもたらす

関わる人たちが同じ方向を向いて、同じ景色を共有すること。そして、地域コーディネーターも横に並んで「あの目標に向かってどんなふうにしていこうか」と一緒に考えることが大事になります。

では、実際に企画を考えるときの切り口はどこになるのでしょうか。

同じ目標に向かって進むには、頭の中の考えや想いを見える形にする企画設計が必要です。企画設計は、関わるひとたちの指針となり、迷った時に立ち返るべき軸となります。

「自分事」と「社会ニーズ」が企画設計のスタート地点となり、理想(目的)と現実のギャップを埋めるために何をするのかを考えて進めます。

イメージが湧いてきましたでしょうか。「百聞は一見にしかず。百見は一考に如かず」ということで、参加者は「シモツケ大学」企画を考えることに!

企画設計に必要な項目が書かれたワークシートをもとに、何をするのか。どんな登場人物がいて、誰がやるのか。参加者と実施者のメリットは何か。などを考えていきます。

考えた企画をグループで共有した後、いくつかの企画を参加者全員に共有しました。
ステキな企画が盛り沢山でしたので、その一部をご紹介します!

・農業体験や暮らす人の話を聞き、下野市で暮らす未来が想像できるようなツアー
・天平の丘公園でドラム缶風呂を並べて入浴し、非日常感を味わう
・廃校を活用して、様々な企画の実施や相談窓口を設けるなど、市民の居場所を作る

若松 佑樹さん(第2回目の講師)と、山口 貴明さんが、各企画に一言ずつコメント。
下野市を舞台にした数々の企画はどれも面白い内容で、直ぐにでも動き出しそうな企画もあった。

 

STAGE2最終回を迎えて

実は『百聞は一見にしかず。百見は一考に如かず』の言葉は、『百考は一行に如かず』と続くそうです。「もう一歩踏み出して考えた内容を実行してみよう!」と勇気づけてくれるような言葉ですよね。

最後に、講師の古河さんからまとめの一言をいただきました。

「地域コーディネーターが存在することで、地域のひと、こと、もの、情報との良い出会いが生まれ、地域の面白いことに関わる人が増えていき、より良い地域になっていくと思います。地域の理解や、信頼、人脈も必要ですが、やってみたい気持ちや、地域を好きだという想いが1番の原動力です。一緒にやりましょう! と応援してくれる人の力を借りながら、様々な形で下野市と関われると思うので、ぜひ一緒にトライしましょう!」

今回でSTAGE2は終了となります。
地域コーディネーターの役割、楽しさを感じていただけましたでしょうか。

紹介していただいた「シモツケ大学」(https://www.shimotsuke-daigaku.net/)が、いよいよスタートします。地域コーディネーターとして関わり、新たな一歩を踏み出す機会になると思います。「しもつけクエスト」で学んだことを思い返しながら参加して、コーディネートを楽しんでみてはいかがでしょうか。

それでは、また一緒に冒険しましょう!!

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主催:下野市
講師:古河大輔さん(NPO法人とちぎユースサポーターズネットワーク 理事)
事務局:NPO法人 とちぎユースサポーターズネットワーク

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この記事を書いた人

藤本 尚彦
一般社団法人カゼトツチに所属。居場所を増やすこと、個人や団体の想いを地域の方々に届けることをテーマに活動中。
「地域の課題に取り組む方々の想いを届けて、協力者を増やしたい!」