若者を必要としている地域がある。
昨年からフクシマ環境未来基地とコラボして実施してきたユースワークキャンプ for 海岸林も第10回目。今回は社会人の参加に加え、国際医療福祉大の学生14名と、活動開始後は最大の人数で活動してきました。
海岸林の整備と植林
あいにくの雨模様でしたが、津波の被害を軽減した海岸林の再生活動を実施しました。海岸林を再生というと植林のイメージが強いですが、植林の前の整備が大切な活動になります。枯れ木を倒木し、細かく切り、まとめ、植樹ができる場所を整えます。倒木には高い専門性が必要になることから、地元の森林組合が中心で行われます。そのあとの木を運べるように細かく切る(輪切り)は、フクシマ環境未来基地も加わり行われます。
今回のユースワークキャンプでは、この輪切りされた木材を一か所にまとめる活動を行いました。一つ一つは重いですが、植林の基盤ともいえる整備活動が大事であることを認識してくれた参加者は、一生懸命取り組んでくれました。また15人の力は大きく、みるみる植林可能な範囲が広がっていきました。
お昼休みを挟み、午後も植林地の整備活動を行いました。午後は、自然と参加者同士の連携や声掛けが起き、さらに整備完了範囲が広がりました。
最後には、自ら整備した場所に、松の木を1本づつ植えました。それぞれの植えた松の木に名前を付け、コーディネーターを務めて下さったフクシマ環境未来基地の本宮さんからは、この活動は、未来の人を守る活動。今は顔が見えてないかもしれないけれど、数年後、何十年後、この海岸林があってよかったという声を想像してほしい。そして、今日、整備してくれたこの場所がこれからどうなっていくのか、関心を持ってもらえたら嬉しいと。
活動終了後には、温泉に入り、疲れを癒し、宿泊地となるいわき市三和町にあるフクシマ環境未来基地の事務所へ。
夜は、自ら春先に植えた新米と、国際医療福祉大学学生チームによる豪華なバーベキューと、笑顔も栄養も満点な夕食となりました。地域の方も顔を出してくれて、フクシマ環境未来基地が地域からも大事にされていること、そしてまたこの地域が抱えている集落全体の高齢化という課題を感じることができました。
夜には、今日一日を振り返って、それぞれの感想とこれからどうしていくかを話合いました。はじめの参加者も多かったですが、現場に関わることでイメージではわからなかった発見や気づきが多く、今後もこうした機会に積極的に関わっていきたいという感想が多く、改めて活動の現場には、動機を育む力があることを実感しました。
地域の交流拠点づくり、もりづくり
2日目は、集落の高齢化が進む三和町にあるフクシマ環境未来基地を事務所機能だけでなく、地域の方との交流拠点にしていく活動を行いました。まず、代表の塚本さんより、この地域が抱える課題と、交流拠点の必要性のお話を頂き、参加者一同、取り組む意義を理解しました。作業は、建物内の壁塗りチーム、小さな子どもが使える大きな机制作チーム、小屋の解体チームなどに分かれ、活動しました。
壁塗チームは、素人でも簡単に塗れる漆喰で塗っていきます。他を汚さないように、床に新聞紙を敷いたり、周りにも気を付けながら進めていきました。用意した2缶が2時間でなくなるなど、あっという間にきれいになっていきました。
机制作チームは、子どもが使い高さになるように、足の長さをカットしていきました。また木材を合わせて天板をつくっていきました。
小屋の解体チームは、建物の構造を見ながら、壁板を剥がし、そのあと、とたん屋根を剥がしていきました。この小屋は、木工作業所になる予定です。そのイメージを持ちながら、丁寧に解体していきました。最後は骨組みだけになり、次の段階に繋げることができました。
普段できない体験でしたので、参加者はとても楽しんでいました。
午後は、森の枝打ち活動。木材が商品かつ大地を守る役割を果たすためには、まっすぐしっかりと育たせる必要があります。その基本のきでもあるのは、横に伸びた枝を切り落としていく枝打ちです。地元の方に作業を教えてもらい、一本一本のこぎりで落としていきました。約20年前に植えられた檜が、商品として建材などに使われるには、あと30年~50年かかるとのことでした。ここにも、未来に託す気持ちがありました。
最後に
2日間を通じた振り返りでは、参加者から、知らなかったことが分かった喜び、チームで取り組むことの大事さ、自分自身・若者の力を必要としている現場に触れる中で、自分たちの力の発揮の仕方をそれぞれに考えた、などの話をしてくれました。
次回のユースワークキャンプは、1月になります。また参加者とも会いたいと思いつつも、新たな参加者との出会いも楽しみにしております。